ボノレノフ人気者化計画・その3。 「これこそ、究極の方法だと…オレは思う」 「大丈夫か?大分思いつめた表情だが、お前」 精神的な疲れも目立つ。 「大丈夫、大丈夫vこの方法は完璧だよ」 何だか、ちょっと怖い。 「で、どんな?」 「ふふv」 シャルは笑った。 「原作者を脅してくる」 「ちょっと待った!!!!」 どこかへ行こうとするシャルの肩を本気で止めるボノレノフ。 「本気かお前!!!?」 「本気だよ!!脅すのがダメなら、周辺の人諸共買収とか!!」 「絶対無理だ!!んな事したら、その場ではOKしても内心では舌出されて、出番じゃな くて死に場所が与えられる!!!!」 ボノレノフは真剣その物だ。 人気キャラとお世辞にも言えない自分なら、急に殺されても原作自体の人気への影響 は少ない。 大体、少人気キャラが原作者に口出しして良い結果が訪れた例など、無い。 「頼む!!それだけは、それだけはぁあぁぁッッ!!!!」 泣きつく。 「じゃあ、オレが原作者を操って活躍し放題!!」 「だから、それじゃ絵が描けないだろ!!!?」 「ならオレが描く!!放して、ボノレノフ!!!!」 「ダメだ!!嫌だぁあぁぁッッ!!!!」 がしりとシャルの腕を掴んで引き止める。と、そこへ ダダダダダダダ!!!! 「助けにきたぞ、シャ」 スパコーン!!!! 「ぎぃやぁあぁぁあぁぁッッ!!!!」 キラーン☆ 駆けつけた勢いを利用して、どこからか取り出したゴルフクラブ(ドライバー)でク ロロを星へと変えたのだ。瞬時にボノレノフの腕も解いて。 「……ふぅ」 自分でも驚くほど華麗な、見事な振りだった。 怖い。ボノレノフは本能的恐怖から、シャルに提案する。 「ちょっと……頭の体操してみよう」 体操中♪ 「ああ…オレは、オレはなんて無謀な事を考えていたんだ…」 顔面蒼白で頭を抱え、地に膝をついて悔やむシャル。 (何だかなー…) そこまで嘆かなくても。 「人間、余裕がなくなると恐ろしいね」 「そうだな…人間…余裕は大事だな…」 ちょっと悟った男2人の光景でした。 |
ボノレノフ人気者化計画・その4。 だが今までとはわずかに異なる、暗い雰囲気。 「ネタ、が、切れちゃった…」 気まずさ満載に、シャルが宣告する。 「そうだろうな」 正直ここまで来れた事自体、奇蹟だ。 「別にいいさ。今まで“死ね”とか“引き立て役”とか言われてきた事を思えば、そ の必死さだけでもオレは相当嬉しかったから」 「でもなぁ…ここまで来ると、何かオレのプライドにかけて見つけたくなっちゃうん だよねぇ。“解けたら100億J”の数式よりやりがいある気がして」 「うぅ」 それはそれで、ちょっと複雑。 「だから街へ行ってみない?」 「街へ?」 シャルの真意を量りかねるボノレノフ。 「そ。気分転換と情報収集を兼ねて」 「気分転換はわかるが…情報収集ってのは?」 量りかねる。 「芸能雑誌でも読み漁ろうかと思って。今は一般人がより芸能界入りしやすくなって て、人気者へのプロセス特集組んでる雑誌が結構あるし。この際、参考に出来る物は 何でも良い。ジャンルは王道、芸人問えないけど…とにかく重要なのはきっかけ…掴 みだから」 「贅沢は言わないさ」 ボノレノフは、素直に快諾した。 「じゃあ、行こ行こ」 シャルがボノレノフの手(グローブ)を引く。と、 ドダダダダダダ!!!! 「シャル〜ッッ!!!!」 (またか…!!) もう、驚きはなかった。呆ればかりで。 「このオレを差し置いて、土ミイラとプライベートで街に行くなんてどういう」 バキィィンッ!!!! 「いやぁああぁあぁあッッ!!!!」 キラーン☆ 駆けつけた勢いと反作用を利用して、どこからか取り出した鋼バットでクロロを星 へと変える。 「……ふぅ」 自分でも驚くほど豪快な、見事なスイングだった。 「さ、行こうかv」 恐ろしく爽やかに、振り向くシャルは笑って見せた。 |
ヨークシンシティ中央街。 完璧な私服で街を歩く、シャルとボノレノフがいた。 「ねぇ…どうしても顔のベルトだけは譲れないの?」 「許可が下りるまではな」 「許可って…誰の?」 「それは聞かないお約束だ」 世の中色々あるのです。 「そんなに気にするな。ウボォーもコルトピもデメ公も、団長のコートさえも平然と まかり通った街だ。オレの事は顔面大火傷患者…程度で済むさ」 「それも如何なものか」 ちなみにシャルがそう思ったのは“顔面大火傷患者”の部分のみ。その他の箇所、 特に“団長のコート”の下りは大納得なのでした。 「けどこうしてシャルと、仕事抜きで街を歩く…って久々だな」 「仕事でもあんまり無いよね。他に心配な問題児が多いから」 そんな風に弾む会話に笑顔を見せ合いながら 「で、どこの本屋に行くんだ?」 「もうすぐだよ」 2人が角に差し掛かったその時、 「大きくてほぼジャンルは揃ってるし、ネットも出来るから便利な」 ドンッッ!!!! 角から曲がって来た集団と衝突を果してしまう。昔のマンガか!?と言った具合に。 「いたたた…」 「スイマセン!大丈夫ですか?」 しりもちをついたシャルの頭上から、謝罪と手が差し出される。 「ああ、どうも……って!?」 シャルが驚愕に顔を歪ませる。彼の視界に映ったのは、ツンツン頭・猫目・グラサ ン・民族衣装の4人組。つまり (鎖野郎と愉快な仲間たち!!!!) ピシャァァアン!!!! シャルとボノレノフ。2人の脳裏に雷鳴が轟く。 まさか、こんな所で遭遇しようとは。事実は小説よりも奇なりだ。 (これも小説だと思うんだが…) そんな輪(話?)を乱すボノ発言は無視します。 (く…ッ!!) 屈辱チック2v (何してるのさ、ボノレノフ!?) (いや、スマナイ。しかしどうする?) (とりあえず、無難にやり過ごそう) (そうだな) 鉄の結束だからこその意思疎通を終え、シャルは爽やか笑顔を浮かべる。 「こちらこそ、前方不注意でした」 「いえ、そんな…こっちこそ」 一礼したシャルに、ゴンもつられて頭を下げる。 「じゃ、オレたちは…」 「どっかで見た顔じゃねー?」 ギクv これで、と立ち去ろうとした2人に更なる驚愕。 「そうだっけ?」 キルアの指摘に記憶を探り始めるゴン。 「そーだよ。隣の顔面大火傷は知らねーけど、金髪の方は見覚えあるぜ」 (オレもあの場にいただろうがーーーッ!!!!) (抑えて、ボノレノフ!!) こんな所にまで蔓延していた“哀れ”パワー。 けれど今は嘆いている場合ではない。 「そう言えば、私も見覚えが…」 「オレもどっかで見たかな…」 (ヤバイ!!!!) 2人同時に危機察知。 「あのー、どこかで会った事ありますか?」 「えっ?いや、そんな事は…」 「そう…ですか?」 ゴンの問い、その他の仲間の詮索に焦る2人。早急に、ここを立ち去らねば。 「じゃあオレたち、ただの通りすがりの旅団は失礼します」 「ああ、これはご丁寧に」 和やかv 「って“旅団”だぁーーーッッ!!!?」 (オレのバカーーーッッ!!!!) 顔で笑って心で泣いて。シャルは己の愚かさを呪った。 「今“旅団”って言ったな、お前!!!?」 当然、声に熱が灯るクラピカ。 「そう言や、賞金首の写真に載ってたかもな」 「オレも、奴らのアジトに行った時見た気が(金髪の方)」 「オレも見た様な…(金髪の方)」 (だから!!オレもアジトにはいたろ!!!!) (今はそんな場合じゃないでしょ!!!!) 焦る、焦る。“冷静”の言葉を瞬間最高263回唱え、シャルは自らに言い聞かせる。 「ちちち違います。そんな、旅団な訳ないじゃないですか」 「だが今…」 「そ、それは…」 ボノレノフに目配せする。 「ただの通りすがりの“旅団Fan”の間違いです」 肩組み合って、不自然な程に満面スマイル。 「何だそうか」 (こいつらバカだ!!!!) 助かったけど。 「しかしお前ら、旅団はA級首でアイドルやらとは違うのだぞ。そんな事を言っている と、いずれ人格を問われるてしまうぞ。わかっているのか!?」 ご立腹に、クラピカは注意を始めだす。助かったものの、余計に立ち去れなくなって しまう。 「第一、お前らには本当の旅団の姿が見えていない!!いいか、旅団は…」 次第に注意に熱がこもっていく。 「いい歳して互いを愛称で呼び合う恥ずかしい集団なんだぞ!!」 (!!) 確かに、確かにそれはそうだが、それはあくまで時間短縮の効率化を求めての事であっ て、大体“愛称”と一口に言っても、ただ省略しただけで考えた訳じゃない。なのに。 「おまけに全団員、性格は残酷・冷徹・陰険・ずぼら。面倒くさがりで家事が出来ず、 アジトも自宅もゴミや溜めた洗濯物で溢れかえり…」 (な…ッ!!!?) 嘘120%の言葉に、今度は激怒の思いが出火する。 「おまけに仕事が長引いた時は風呂にも入らず、当然返り血が付こうが土が付こうが着 替えもせず…」 (失礼な!!オレはウボォーを待ってる最中でさえ、ちゃんとシャワー浴びたんだから!!) (着替えだって、全員1週間分持ってきてたんだぞ!!!!) 心で、伝わるはずも無い反論を逐一、笑顔のままで繰り広げる。 「クラピカ…本当に怨み深いんだね…」 「何でもいいから評判落としたいんだな」 「やっぱアイツ、敵に回したくねぇなぁ」 小声で頷き合う愉快な仲間たち。 「着替えと言えば、奴らの服のセンスは最悪だぞ。同じ地域に夏だか冬だかわからない 様な服で集まって…特にリーダー。アイツは街中を派手なふさふさコートで身を包み、 上着もどこぞのダンス衣装顔負けな上、オールバック&額イレズミで壁走ったと言う、 酷く目立ちたがりのナルシストなのだぞ」 「うるさいなー!!あれはオレだって止めたんだぞ!!旅団の恥…ッ」 (シャル!!) 慌てて、ボノレノフがシャルの口を押さえる。が、時既に遅く、クラピカは近眼の人 が遠くのモノを見る如くの悪い目つきで2人を見ていた。 「今の発言はどういう意味だ!?旅団の頭と面識があると言うのか!?」 「ち、違うよ!!誰があんな逆十字プリント!!」 「待て!私は、頭のコートが逆十字プリントだと言った覚えはないぞ!!」 「う…ッ」 ピンチ再到来v 「それにやはり貴様、旅団の死体(偽)の1体と似ている」 「確かにあの写真に載ってた、異常にダウトの弱い男にそっくりなんだよな」 「写真だけでわかるか、そんな事!!!?」 クラピカの疑惑よりも、キルアの言葉に過度反応してしまうシャル。涙声で。 「何で、アンタがそんなに怒るんだよ」 「うぅ」 もちろん、図星指されて悔しかったから、とは言えない。 鎖野郎と愉快な仲間たちの疑いの眼差しを受け、まさに今 ピンチ続々到来v 再び、シャルはボノレノフに目配せする。頷くボノレノフ。 「姿まで真似してしまう、ただのコスプレ魂だよね。ボノ次郎」 「そうだな、シャル太郎」 「どこぞの猿軍団か、お前らは」 肩組み合って、不自然な程に満面スマイル、な2人に毒ツッ込みをかますクラピカ。 他の3人も、微妙な表情をしている。 「フ…。私とした事が、とんだ勘違いをしたようだ。すまなかったな」 表情を和らげ、くるりと向きを変えて去って行く。 「私が長年追いかけている仇が、あんなバカな訳ないからな」 (何だと、このーーーッッ!!!?) (待て、シャル!!!!) ネコケータイを握りしめた激怒シャルを、後ろから羽交い絞めてボノレノフは止める。 「放して!オレは殺す!!今、この場でアイツらを殺す!!!!」 「落ち着けって!お前の能力、相手がザコでもない限り戦闘向けじゃないだろ!!操作す る相手の身体能力にも依るし!!」 「じゃあ、ボノレノフを操作するよ!!!!」 「いや、それならまだオレ1人で戦った方がマシだから」 「それでも良い!!今すぐアイツらを塵にしてやるーーーッッ!!!!」 暴れる。 「ンな事したら連載終わって、出番も何もなくなるだろ!!お前もオレも!!」 懸命に、シャルをなだめる。 「うぅ…」 おかげで、次第に落ち着いていく。ボノレノフに放してもらい、向き直ると涙ながら に訴える。 「悔しい!!オレは悔しいよ、ボノレノフ!!!!」 自分の上着を掴み、瞳には涙いっぱい。 「よしよし…」 なでなで。 「オレは、今日の屈辱を忘れない…ッ」 「もう泣くな。ほら、ハンカチ」 ポケットからハンカチを取り出し、シャルに差し出す。もちろん先程の、クモ刺繍。 「ありがとう、ボノレノフ…」 「良いさ。それに初登場から2年以上経っても芽の出なかった人気を、今日明日でどう かしようと焦ったのもいけなかったしな」 感激ムード再々来。 「ボノレノ…」 ズダダダダダダ!!!! (!!!?) 音の方を見ると、予想通りに黒い影。 「ッ…」 ボノレノフの全身が硬直する。 「ボ〜ノレ〜ノフーーーッッ!!!!」 黒い影の中、目だけが光ってかなり怖い。 「か…」 ボノレノフの身体が天敵の登場に震えだす。 「勘弁してくれぇえぇええぇぇ!!!!」 「ボノレノフ!?」 条件反射か、シャルの傍から猛スピードで逃げ出していくボノレノフ。 「ボォ〜ノォ〜ッッ!!!!」 クロロもまた嫉妬と勘違いの猛火に身を焦がし過ぎている為か、シャルの脇をすり抜 けてボノレノフを追いかける。 「ちょ、ちょっと!!」 突風を発生させながら、ボノレノフとクロロの姿は既に遥か彼方の産物と化していた。 「あの…」 置いてけぼりシャル。残されたのは1枚のハンカチと、右手のメガトンハンマー。 「え〜…っと…」 頭を掻いて、シャルは決める。 「家に帰ろ」 帰路につく。その瞳は、周囲を凍てつかせる冷気を秘めていた。 その後、過労で休養中のボクサーと流星街ガレキ中に埋められ、メガトンハンマーの 下敷きとなっていた瀕死黒服の姿が目撃されたと言う…。 END ☆ |
・後書き 久々ギャグv最高に長い&重いです。しかも太・大文字多用;勢いで誤魔化す気です(死) まさか、ボノメインでこの様な事態を迎える事になろうとは。今世紀最大のミステリです。嘘です(笑) 実はコレが随分前に『「ヒソヒソ〜日記」後書き』で言っていた、 「絶対に初だよ!この2人メインのSSなんて!!」ってブツです。初…ですよね?シャル&ボノなんて。 今回のタイトルはガクト氏の曲から。曲の発売時期考えても、いかに昔のネタかがわかります; けど、曲聴いて思いついた訳では絶対にありません。前回の「君のために僕がいる」と掛け 「君のため」シリーズ!(!?)と銘打っての選択。タイトル考え中に偶然思い出しただけです(^^;) でも曲題とSS…何となく合ってません?まさに運命!曲も良いですよv ですが…本当に長い;コレ、SS2本分あるんです;何度 「コレ後回しにして、他のを2本書いた方がボノらしくて良くないか?哀れで」と思った事か(酷ッ) だって冷静に考えたら、このHPではフェイタンやノブナガ他より出番多いんですよ。哀れのくせに。 これで「出番…」て言われても。まぁ、原作の方で欲しいんだから、仕方ないか。 ちなみに最後、ボクサー助けたのも黒服埋めたのも爽やかさんです。 家に帰ったのは、それらの準備と2人の居場所特定の為。ブレーン&情報処理担当だからv にしても…団長はボノを目の敵にでもしてるんでしょうか;シャル一直線だし。 そう言えば、主役4人が揃ったのも今回初。次は…当分ないです。シャル泣かせたから(笑) 以上、微かでも笑って頂けたら光栄ですvvvでわ☆ |